会長の時間25 平成25年1月16日(水)

2013-01-16

「ならぬものはならぬ」 2013.01.16

日田ロータリークラブ会長 橋本信一郎

 

新しくNHK大河ドラマ「八重の桜」が始まりました。前回の「平清盛」は初回を見ただけで後は一切見ませんでしたが、「八重の桜」は2回目も見ました。

 

幕末という日本国難の時代背景の中で、佐久間象山や勝海舟、吉田虎次郎、西郷吉之助など馴染みのある人たちが活躍するという事もありますが、幕末維新のドラマといえば、いつも薩長土肥が中心でしたが、いわば賊軍とされた会津藩からみた幕末・明治というのも面白そうです。

 

その「八重の桜」の中で、会津藩士子弟の教育、「ならぬものはならぬ」で有名な「什の掟」が繰り返し出て来ます。その内容についてはコピーをお配りしております。

 

会津藩では同じ町に住む六歳から九歳までの藩士の子供たちは、十人前後で集まりをつくり、この集まりのことを会津藩では「 (じゅう)」と呼んだのだそうです。

類似するものに、薩摩藩の郷中(ごじゅう)教育があります。薩摩の鍛治屋町から西郷隆盛や大久保利光など維新の英雄を輩出したことは有名です。

 

この若者たちの自治組織というのは、民俗学的には若集宿と同根のもののようで、台湾など南方から来たもののようです。この民俗学的なものが、士族教育という、より倫理的なものに進化させたというのも我が国の誇りであると考えます。

日本最後の若衆システムといえば、旧制高校の寮であったのかもしれません。

 

「八重の桜」の中で、子供たちが「戸外で夫人(おんな)と言葉を交えてはなりませぬ」と唱和したり、母親が娘に男と女の差を教える場面がありましたが、妙に現代的解釈ではなく、時代もNHKも少しずつ変わっているなと思いました。

 

ところで、私の保育園では「什の掟」から援用しました「善悪の区別」を毎朝、3歳以上児が朝礼で唱和しています。

 

「善悪の区別」

一つ 嘘をつかない

二つ 盗まない

三つ 命を大切に

四つ 卑怯なふるまいをしない

五つ 弱いものいじめをしない

六つ 年上のものを敬う

 

先々、子供たちの行動規範に少しでも役立ってくれればと思っています。

【以下参考資料】

什の掟じゅうのおきて(ならぬことはならぬものです)

 

同じ町に住む六歳から九歳までの藩士の子供たちは、十人前後で集まりをつくっていました。この集まりのことを会津藩では「 (じゅう)」と呼び、そのうちの年長者が一人什長(座長)となりました。

 

毎日順番に、什の仲間のいずれかの家に集まり、什長が次のような「お話」を一つひとつみんなに申し聞かせ、すべてのお話が終わると、昨日から今日にかけて「お話」に背いた者がいなかったかどうかの反省会を行いました。

 

一、 年長者(としうえのひと)の言ふことに背いてはなりませぬ

一、年長者にはお辞儀をしなければなりませぬ
一、嘘言(うそ)を言ふことはなりませぬ
一、卑怯な振舞をしてはなりませぬ
一、弱い者をいぢめてはなりませぬ
一、戸外で物を食べてはなりませぬ
一、戸外で婦人(おんな)と言葉を交へてはなりませぬ
ならぬことはならぬものです

 

一、無念(むねん)
一番軽い処罰です。みんなに向かって「無念でありました。」と言って、お辞儀をしてお詫びをします。「無念」ということは、「私は会津武士の子供としてあるまじきことをし、名誉を汚したことは申し訳がない、まことに残念であります。」という意味でした。

二、竹篦(しっぺい)
いわゆる「シッペ」です。制裁の重さに応じて、手のひらに加えるか又は手の甲に加えるか、何回加えるかを決めました。仲がいい相手だからと力を抜くものがいれば、什長は厳しく目を光らせ、すぐにやり直しを命じました。

三、絶交(ぜっこう)
一番重い処罰です。これを「派切る(はぎる)」と言い、いわゆる「仲間はずれ」でした。めったに加えられる罰ではありませんでしたが、一度「絶交」を言い渡された場合には、その父か兄が付き添い「お話」の集まりに来て、什長に深くお詫びをし、什の仲間から許されなければ、再び什の一員に入ることができませんでした。

四、その他
火鉢に手をかざす「手あぶり」や雪の中に突き倒して雪をかける「雪埋め」というような制裁もありました。

 

子供にとって仲間たちから受ける審問は辛いものではありますが、「お話」も「制裁」もすべて大人たちに言われてつくったものではなく、子供たちが制約や強制を受けずに自分たち自身でつくり、「会津武士の子はこうあるべきだ。」ということを互いに約束し、励み合ったのです。

 

 

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