会員卓話 「平和と紛争予防について」 橋本信一郎

2017-02-01

「平和と紛争予防について」 橋本信一郎会友
 平野プログラム委員長から、2月は「平和と紛争予防月間」だから、何か話をしてほしいと電話を頂きました。良く分からない紛争について考えてみるのも良いかぐらいの軽い気持ちで承諾いたしましたが、考えれば考えるほど難しい問題です。

 RIのホームページを見てみましたら以下の事例が出ていました。
第5100地区(アメリカ): キプロスに住むイスラム教徒とキリスト教徒の互いへの偏見を解消するためのプログラムを毎年実施。若い世代の人たちが米国で共に生活し、帰国後にそれぞれの地域で平和構築と文化交流を促進。
・アルテンブルグ・ロータリークラブ(ドイツ): 難民が地域社会に馴染めるよう支援。地元のカフェにロータリアン、ローターアクター、弁護士や社会福祉士を含む地域住民が集まって、他国から逃れてきた人たちについて知識を深め、難民が仕事に就けるよう援助活動を実施。

ちょっと考えてみても、小は身の回りのトラブルから、宗教、人種、民族、富めるものと貧しいもの、貧困や餓えなどが、複雑に絡み合って紛争や戦争の原因となります。

NHKの「ダーウィンが来た」や「アニマル・プラネット」などを観ていると、地球上の海の中やジャングル等、ありとあらゆる所で生物が厳しい生存競争をしています。但し、動物は生きるために必要な争いしかしません。しかし、人間は脳が異常に発達したばかりに、欲望が肥大化し、様々な都合の良い理屈をつけるようになり、人間同士の争いが地球上で最も熾烈なものになりました。富を独占したり、被征服民を奴隷化したり、自分の信じるものだけが正しい、優れた自分たちが異教徒を支配するのは当然だ、とも考えるようになりました。

例えば、民主主義の発祥の地といわれるギリシャで、学者アリストテレスは「人間には生まれながらに知性に欠けた人々がおり、そうした人々は『奴隷であることが有益』で『正しい』ことだ」とまで言って奴隷制を擁護しています。ローマ教皇ニコラウス5世は1452年、アフリカの地中海沿岸部を征服したポルトガル王アルフォンソ5世に対して、異教徒を永遠の奴隷にする許可を与えています。人種差別と奴隷化にお墨付きが与えられたのです。

ヨーロッパ人がアフリカ大陸、南北アメリカ大陸、アジアでやってきたことは、例えば、インカ帝国を襲ったピサロらの悪行を、従軍司祭として見たラス・カサスは「この四○年間にキリスト教徒たちの暴虐的で極悪無慙な所業のために男女、子供合わせて1200万人以上の人が残虐非道にも殺されたのは全く確かなことである」と述べています。(ラス・カサス『インディアスの破壊についての簡潔な報告』)

その波が日本に押し寄せたのが、天文18(1549)年のポルトガルの宣教師フランシスコ=ザビエルの到着でした。ザビエルは、日本を強力なキリスト教国家にしてポルトガルの支配下に置こうとしました。しかし、戦国時代で戦い慣れていた信長や秀吉・家康は、彼らの企みを見抜きました。信長は宣教師たちがキリシタン大名を育てているのを知り、布教を許したのは「我一生の不覚也」と後悔しましたが、鉄砲部隊や鉄製軍艦などで宣教師を威嚇して「日本は征服が可能な国土ではない」と諦めさせました。
ポルトガル人たちは布教のかたわら、日本人奴隷を海外に売り払っていました。秀吉はイエズス会の宣教師ガスパール・コエリョに対し、「何故、ポルトガル人は日本人を奴隷とするのか」と激怒、詰問しています。さらに教宣教師たちが、九州のキリシタン大名を焚きつけて寺社を焼かせているのにも激怒し、ついに宣教師追放令を出しました。日本がフィリピンやメキシコのようにならず、明治まで植民地されなかったのは、信長や秀吉、家康の正しい洞察力と判断のお蔭だといえます。

最近ではヨーロッパにおけるイスラム難民の大量流入による対立があります。イギリスがEUから離脱したのも流入してくる移民の問題がありました。トランプ大統領の不法移民の入国制限も同じ問題だと思います。カナダのトルドー首相は、トランプ大統領の入国制限に関して「信仰に関係なく、迫害やテロ、戦争から逃れた人をカナダは歓迎する、多様性(DIVERSITY)は我国の強みだ」だとツイッターしましたが、このDIVERSITYという言葉こそが、EUに大混乱を引き起こしています。
いくら多様性を掲げても、長い時間を掛けて、歴史や文化、医療制度や社会福祉制度を作り上げてきた元から住んでいる住民は、ニューカマーに自分たちの生存圏(テリトリー)を侵されると恐れと怒りを感じます。多様性の中のギャップ、差が大きければ大きいほどトラブルは大きくなります。人間は自分たちの持つ権利が侵害されると、排除しようとするものなのでしょう。これは生物の性(さが)ですからどうしようもない。理想を言えば、一つ屋根の下に諸民族、緒宗教が仲良く住むのが理想でしょうが、多様性のギャップを埋めるのはなかなか難しい。

とすれば、紛争が起きるのはやむを得ないことを前提として、国連の平和維持活動(PKO)のように可能な限り予防すること、発生しても出来るだけ大事にならないようにすること。難民が出たら、出来るだけ現地で生活や復興の支援をすることなどが、現在、出来うる最善の方法なのではないでしょうか。

また、我々は、まず、個人としても国家としても、独立と自由を失わないようにすることです。まず自分たちが確りした国づくりをして、世界平和に貢献していくことが重要だと考えます。

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