会長の時間3

2021-07-21

日田ロータリークラブ会長  河津 龍治

 

私は学校を卒業し、最初の現場が人吉ループ橋でした。私の社会人の原点でもありますので、週報にも使わせて頂きました。最初の3ヶ月は、測量だけで、毎日毎日、重たい測量器械を担ぎ、リュックの中は機械式計算機、三角関数表、図面と野帳が入っていました。その後、関数計算ができる電卓、カシオFX10が出たときは感無量でした。

橋脚の下は深層工法という現場打ちのコンクリート杭が」入っています。朝一番、前日打ったコンクリートの型枠を外し、写真を撮り、次はダイナマイトを詰める 削孔を始めます、削孔が終ると、作業員は昼食に入ります。我々技術者は昼食の間にダイナマイトを装填し、爆発させます。爆発させた土砂はクラムシェルという機械で搬出し、最後は人力で土砂を撤去します。それから側面の型枠を組み、組み終わる頃には生コン車がカランコロンと音を立て、待っています。いつも生コンを打ち終わるのは7時か8時頃で、それから現場事務所に戻り、書類を整理し下宿に帰り着くのは、いつも10時過ぎです。

 

下宿には風呂もシャワーもありませんので、日曜日、温泉に行くのが唯一の楽しみでした。また日曜日に洗濯を忘れると、次の週は、一度履いたパンツを裏返しにして履かなければなりませんでした。毎日毎日インスタントラーメンばかりで、所長に残業は苦になりませんが、毎日ラーメンだけは、と訴えました。すると焼肉をしてくれるのですが、すぐラーメンに戻ります。当時はコンビニもない時代でしたかから仕方がありません、そうこうしているうちに、何も食べず、帰ってから人吉の町を徘徊するようになりました。 寿司や焼肉や、炉端焼きなどいろいろ開拓していきました。貰った給料は全て飲み食いに使っていました。 もちろん貯金は0です。寿司屋の親父は今でも付き合っています。

 

 

さて、現場打ちコンクリート杭が終ると、次は上へ上へと上がっていきます。鉄筋、型枠、コンクリートの繰返しです。高いところでは30m近くになりますので、強風の時は大変です。

 

 

橋脚が完成する頃、上部工やさんが来て測量を始めます。橋脚と橋脚の距離は、3センチの許容範囲内に入っています、と言う報告を受けたときは、感無量でした。もちろん報告を受けるまではドキドキ、ハラハラは言うまでもありません。

 

私の妹が鹿児島におり、たまに行きます。行く時、高速を人吉で降りて、このループ橋を眺めていると、寝ていた家内や、子供たちが起きて来て、父ちゃん、また~と言うわけです。帰りもえびねで降りてこのループ橋を通り、人吉から高速に乗るわけです。自分の作った道を通りたいと思うのは当然で、我々は地図に残る仕事をしていますし、これからもしていくつもりです。

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