会長の時間26

2022-04-20

日田ロータリクラブ会長 河津龍治

介護付き老人ホーム譲渡

 

皆さんはロータリーの休会中、いろいろあったと思いますが、私もありました。河津建設が17年間、経営してきた41床の介護付き有料老人ホームを譲渡することになりました。去年、施設長が突然亡くなり、後継者を探していたのですが、なかなか見つからず、コロナ渦の中、慢性的な人手不足に悩まされ続けていました。譲渡の条件は、当社の運営方針をそのまま引き継いで貰い、入居者や職員も、同じ待遇であることを条件とし、全て、仲介業者にお任せしました。俗に言うM&Aという方法です。仲介業者が査定した金額で契約をし、あとは一切口出しが出来ません。何処に売却するとか、一切知らされず、途中で条件を変えることも出来ませんでした。

 

今、河津建設は約30億の売り上げがありますが、当時は、15億ぐらいで、今のように災害もなく、少ない公共工事を奪い合っていました。このままでは先が見えなく、何か手を打たなければと、焦っていました。いろいろ考えた末、日高町に持っていた、資材倉庫とアパートを壊し、そこへ老人ホームを建てることにしました。補助金を一切貰わずに立ち上げたため、当時の市長、大石さんから、俺は反対したが、おまえが勝手に作ったということにして、今後、こういった老人ホームは一切作らせないと言っていました。社会福祉法人じゃないから、いろんな制約がありません。施設長の給料は幾ら貰っても良いわけです。また食事の制限もありません。塩分を控えた美味しくない物を食べて、20年生きるより、塩分たっぷりの味の濃いい、美味しい物を食べて10年生きた方がどれだけ楽しいかという、コンセプトで運営していました。最初の1年目は3人しか入居者がいなかったのですが、大分県は最初から41床分のスタッフを揃えなさいということで、5千万の赤字でした。次の年は1千万の赤字で、3年目からようやく黒字になりました。当初からWI-FIを備え付け、完全個室と言うことで、海外在住が長かった方など、ハイレベルな生活をされていた方が、入居するようになり、それからはほぼ満床が続きました。

 

年間売り上げは、平均で1億5千万、純利益も平均で6百万ありました。もちろん、税金は河津建設が払いますし、銀行からの借り入れもありませんので、17年間である程度、貯金が出来ていました。令和4年3月31日をもって、パートを含め39名の職員を解雇し、退職金を払い、残りの有給休暇を買い取ることにしました。また、4月1日をもって引き継いでくれる、新しい会社と雇用契約を改めて結んで貰うようになりました。当初は営業もせずに毎年1億5千万の現場があるという考えで始めたのですが、建設業の場合は1億5千万の工事は社員が2人おれば、十分ですが、介護付き老人ホームの場合は、40人の職員が要るということで、その職員を集めるのがどれだけ大変か、後で分かりました。この業界は人の出入りが激しいと聞いていましたが、退職金の一覧表を見て、改めて、驚きました。勤務年数10年以上はたったの6名、3年未満が21名と、義理人情もない、本当に切ない業界であることが、思い知らされました。今は、やめて良かったと、つくづく思っています。以上 会長の時間を終ります。

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