会長の時間12

2020-10-28

日田ロータリークラブ会長 井上太香美

男子の本懐


 本日は本年度第1回の職場例会です。例会場として場所をお貸しいただいた井上酒造様、本日はありがとうございます。
こちらは私が申し上げるまでもない日田の「老舗 酒造会社」です。単に1企業であるというだけでなく、江戸期より日田の経済、文化をけん引してきた日田市の顔であると申し上げても過言ではないでしょう。そして御当家は大正中期より昭和7年に至るまで、日本の政治、経済の分野で活躍した日本銀行第9代並びに第11代の総裁にして、第2次山本内閣の第23代大蔵大臣、昭和に入って濱口内閣、第2次若槻内閣時の第30代大蔵大臣として、昭和の大恐慌時の金融政策を指導した井上準之助氏の生家とお聞きしております。各種文献で調べますと当時の経済情勢は現在と酷似しているように思えます。氏については様々な評価がありますが、そのことは皆さんでそれぞれ評価してください。氏をモデルにした小説に城山三郎の「男子の本懐」というものがあります。この本によると井上氏は非常にダンディーであったそうです。アメリカ在勤の経験から、日本にも健康な紳士のスポーツが必要と、ゴルフを普及させた功労者です。関東最古のゴルフ場である駒沢ゴルフ・リンクス(現在は、駒沢オリンピック公園となっています。)は地代をほとんど一人で負担して発足させました。また横浜の程ヶ谷カントリー倶楽部の発起人にもなりました。彼が凶弾に倒れたときアメリカに注文してあったドライバーが届き、これを納棺したそうです。大蔵大臣に就任する際には、国民に不人気な緊縮財政を敷いて命を全うした者はいない。と言われる政策を実行せざるを得ない立場におかれ、死を覚悟していました。

私は以前ǸHKでこの放送を見て、その内容に感激したことを今日の職場例会で思い出し、「男子の本懐」を取り寄せ精読して感激を新たにしたところです。断然この本を読むことをお勧めします。


本懐とは、辞書によりますと、前からかくありたいと願っていた事柄と記されています。つまり「男子たるものかくのごとく生きていきたいもの」という表題と解しました。最近、明治時代の偉人といわれる人たちに関する本を読むと、共通するものがあります。私の好きな七言絶句の漢詩で説明すると「男子、志を立て郷関を出ず、学もしならずんば、死すとも還らず。骨を埋ずむ、豈にただ墳墓の地のみならんや、人間到る所に青山あり」。
即ち、高い志をもって故郷を出たならば、石にかじりついてもその志を達成するぞという心意気を示した漢詩で、このような熱血漢が明治の時代に沢山いたことがわかります。交通網も未熟な時代に、今、わしたちが目にしているこの川を、この山を、この空を見て育った少年が、自らの足のみを頼りに上京し、天下、国家のために働いた。そん偉人の人生を俯瞰しながら、「男子たるもの、かくありたいもの」と及ばずながら感じているところであります。

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