大分県内の最近の経済状況    福田吉和会友

2012-02-08

大分銀行豆田支店の福田です。日田ロータリークラブには昨年の9月に入会させていただき、約半年経つところで、まだまだ何もわかりませんが今後ともよろしくお願いいたします。

最初に少しだけ自分のことをお話したいと思います。

生まれは昭和35年12月で現在51才です。出身は別府市で、銀行に就職する22才まで別府で過ごしました。別府といえばご存知の通り温泉地として有名ですが、ここ日田にも温泉がたくさんありますので、こちらにいる間にいろいろと行ってみようと思っております。勤務としては、銀行に入り30年経過し、現在の豆田支店がちょうど10ヶ店目の勤務地です。豆田支店は昭和17年7月に当時の日田共立銀行を当行(当時は大分合同銀行と言っていましたが)が合併した際引き継いだもので、それ以降現在まで約70年の歴史があり、私が豆田支店の27代目の支店長をつとめさせていただいております。

さて、現在の大分県内の経済情勢について少しお話ししたいと思います。

昨年の大分県の経済を振り返りますと、何といっても3月11日に発生した東日本大震災が県内にも大きな影響を及ぼしました。震災の影響により、製造業においてはサプライチェーンの寸断、小売業においては消費自粛、サービス業においては観光客の減少といった影響が県内経済にも大きく、6月までの前半までの大分県内の経済状況は停滞感がありました。具体的には、震災直後から自動車関連産業などは生産活動が低下し、建設資材・材料の高騰および個人消費自粛、また外国人を含め観光客の減少などといったさまざまな影響がみられ、県内経済も混乱している状況でした。しかし、時間が経つにつれ徐々に震災の影響も薄れ、材料等の供給面が回復するとともに生産活動は上向き、個人消費も緩やかな持ち直しの動きが見られてきましたが、その矢先、昨年の夏場以降、今度は別の要因である海外景気の減速や歴史的な円高、電力不足問題もあり、景気回復局面を下振れさせるリスクが高まってきたことに加えまして、タイの洪水の影響が製造業など一部の業種でみられる等、震災後の復旧を急ぐ日本国内の景気を再度足踏みさせる要因が起こり、足元の県内経済は持ち直しの動きが弱まり足踏みの状況となった1年となりました。

資料は、九州財務局の大分財務事務所が平成24年1月末に公表した昨年10月から12月の経済情勢報告で、この報告は3ヶ月毎に公表されており、最近の経済情勢の報告の中では一番新しいものです。10月から12月までの直近3ヶ月の総体的な状況として「大分県内経済は、厳しい状況にある中、緩やかな持ち直しの動きがみられるものの、このところ一部に弱い動きがみられる。先行きについては、各種の政策効果などを背景に、緩やかな持ち直し傾向が続くことが期待される。ただし、海外景気の下振れや為替レートの変動等によっては、景気が下振れするリスクも存在しており、雇用情勢などと併せて留意する必要がある。」と景気を下振れさせる要因が存在し、まだ回復局面ではないとしています。総括判断としては、前回の期間である7月から9月の「やや緩やかな持ち直しの動きが見られる。」から「厳しい状況にあるなか、緩やかな持ち直しの動きがみられるものの、このところ一部に弱い動きがみられる。」とやや下回るものとなっており、先ほど申しましたとおりヨーロッパを中心とした海外景気の減速や歴史的な円高が景気の回復を足止めしている状況にあると言えると思います。

では、近県の経済状況はどうかといいますと、福岡県は大分県よりも若干良い「厳しい状況にある中、持ち直しの動きが緩やかになっている。」としており、九州新幹線の全線開通、ソフトバンクホークスの優勝セールにより個人消費が好調だったことから、大分県よりの少し良い判断となっています。

次に、個別の項目について見て行きたいと思います。

まず、個人消費ですが、「一部に弱い動きがみられるものの、緩やかに持ち直している。」と7月から9月の状況を維持しています。大型小売店の販売額は、気温が高い日が多く、秋冬物衣料や鍋物商材の食料品があまり売れなかったなど、前年を下回りましたが、一方、LED電球やコタツなど節電に対応したエコ商品の買換えが好調であったこと、新車の販売台数は新型車の投入効果により、前年を上回り、更にレジャー、観光施設の入場者数は前年を上回っていることから、前回と同様の判断となっています。

生産活動につきましては、前回より悪化しています。その内容としましては、海外景気の減速の影響により、電子部品、IC関係の生産が低調で全体的に弱い動きとなっています。雇用情勢につきましては、前回同様緩やかな持ち直しの状況となっています。新規求人数は低調ながら、医療・福祉、なかでも福祉関係の企業を中心に前年を上回っている状況です。

設備投資につきましては、企業の設備投資を調査したところ、全産業において前年度を下回る回答となっており、経営者の方々の設備投資意欲が冷え込んでいる結果となっております。

企業収益は、企業の経常利益を調査したところ、自動車関連業種で増益見込、生産用機械や情報通信機器関連業種では逆に減益見込となっています。

次に企業の景況感につきましては、企業の景気予想判断は相変わらず下降予想となっていますが、製造業においては一部上昇とする企業もあり、全産業においては下降超幅が縮小しているとなっています。

住宅建設件数は10月以降は持家、貸家とも前年比減少している状況です。

次に公共事業は前回に引続き前年を下回る実績となっています。年度当初は東九州道トンネル新設工事や大山ダム工事といった大型工事もみられましたが、震災による国の執行留保などの影響もあり、減少傾向で推移、現状も公共工事の抑制傾向に変化なく、前年を下回るものとなっています。

企業倒産は、緊急保証制度や中小企業円滑化法といった政府の中小企業支援策の効果から小康状態にありましたが、次第に支援策の効果が薄れてきており増加基調で推移すると見込まれています。

以上の通り、経営者の皆さまが一番良く感じられていると思いますが、総体的に現在の大分県内の経済情勢は足踏みが続いている状況です。

続きまして、今年1月以降の大分県内の経済動向の予想はどうかと言いますと、今のところ若干上向きとなる予想となっています。個人消費は力強さに欠けるものの、省エネ・節電意識の高まりから関連商品の販売が引き続き売れており、自動車販売はエコカー補助金の復活が予定されていることから販売増加が予想されるなど、伸びは低いものの底堅く堅調に推移するものと見られています。一方、公共投資は大分県の来年度の公共事業費が前年度対比マイナスとなるなど、厳しい財政状況を背景に引き続き抑えられる傾向にあるものと見られています。

先ほど今年の経済動向は若干上向きの予想と申しましたが、回復の足取りは重く、足踏みを繰り返しながら、少しづつ上向いていくといった展開が予想されるところです。 以上

 

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